それから数日経っても、数年経っても、愚かな妖精の話が妖精達の間で広まることは
なかった。残ったのは、飛べない妖精が、ひっそりとこの世界から姿を消したという事
実だけだ。
 友人達の誰もが、ファータの愚かな夢を、誰にも話そうとはしなかったせいだろう。
ファータは、彼女の望むなにものにもなれなかった。
 ただ、彼女が一番嫌っていた、飛べないファータという存在で在り続けただけだった。
 それも、数少ない彼女の友人の間でだけ。
 しかし少なくとも彼等は、ファータのことを死ぬまで忘れたりはしなかった。その愚
かさのためではなく、彼女への憎しみでもなく、その愛によって。
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